
サラリーマンで定年を迎えられた方が、退職金で資産運用を始めようとするケースで相談を受けることが良くあります。
多くの場合、退職金が振り込まれた銀行から、振り込み直後に電話で営業があるようです。ひどい場合は新興国の債券(義理の母親はブラジルの債権を買うようにと勧められたそうです)など高コストでリスクが大きい金融商品を勧められるケースが多く、そこまでいかなくとも、60歳を過ぎた人に長期投資前提での複数の投資信託を買いポートフォリオを組むように勧められるようなケースもあるようです。リタイヤ後少しでも豊かな生活をするために退職金を少しでも増やしたいと考える人の気持ちに付け込んだ、すごく悪質な営業だと思います。
投資において、「時間」は最も重要な要素の一つであり、投資の経験の有無によらず、退職金をもらうような年齢の方がリスク商品を買って運用するということはあまりお勧めしません。
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理由は「時間」不足
資産運用は「時間」が必要です。インデックス投資も期間が短いと相場の変動を大きく受けてしまいますが、20年、30年といった期間をかけることでリターンが安定してきます。
仮に60歳から始めたとして20年、30年後となると、もうお金を必要としない時期になってしまっているのではないでしょうか。
また、それより短い期間でリターンを求めるとそれなりのリスクを負うことになります。せっかくもらった退職金を減らしたくはないでしょう。
まず行うべきは「投資」ではなく「節約」
現役時代から資産運用を行い、老後に必要な資産を準備できている人は問題ありませんが、そうでない人は、まず退職金を加算し老後に必要なお金がどれだけ不足するのかを計算することが重要と思います。
そして足りない分を補うためにどのコストを削るのか、まずやるべきは「投資」ではなく「節約」と思います。
そして、それでも足りなければ、再雇用などで働くしかありません。
決して銀行の言いなりになって高コスト・高リスクの金融商品を買ってはいけません。
さらに付け加えるのであれば、お金をかけずに健康を維持するための趣味を見つけることだと思います。そうすれば健康が手に入り、医療費という出費も抑えることができます。
まだ資産形成期にある人へ
今リタイヤを迎える世代の人は、現役時代から資産形成を行ってない人がほとんどで、上記状況になるのが大多数と思います。
ただ、今の退職世代は、まだ退職金や年金はそれなりにもらえますし、再雇用制度も取り入れている会社が増えてきているので、まだ大丈夫でしょう。
ただ10年後、20年後に退職を迎える我々世代は、退職金も減額され、年金給付額も減額されるでしょう。その時、現役世代に資産形成をしていなかった人は悲惨な老後になってしまう可能性もあるということを理解しておかないといけないと思います。
これまで国が守ってくれていましたが、日本も今からは自己責任の時代になります。自分で考え先に備えていくことが重要と思います。
まとめ
リタイヤ時点でその後の生活はすでに確定してしまっており、退職金を使った資産運用などで一発逆転するということは難しく、おおむね退職時点でその後の生活水準は確定されると言って良いと思います。
現役時代に資産形成をしてこなかったのを挽回したいという気持ちはわかりますが、退職金で一発逆転というのはギャンブルに近い運用となり、実際失敗した話はよく聞きますが、うまくいったという話は聞いたことがありません。
運用するにしても元本保証の退職金上乗せの定期預金くらいのとどめておき、節約など貴重なお金をどう減らさないか、に注力すべきと思います。
また、まだ資産形成期にある年齢の方は、今の状況(今後はさらに悪くなる)を見て、必要な資産形成に早めに着手していくべきと思います。
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